組織力

 

既成概念を打破して勝利を得たドイツ機甲師団



「強い軍団は必ずしも最後に勝つとは限らない」と言うことを常に考えなければならない。
武田の騎馬軍団は当時、最も強い軍団であった、しかし、弱いと言われた尾張の軍団に負けたのである。勝敗は外交、経済、技術など様々な条件の総合で決まる。

日本軍が最も強かったのは太平洋戦争時であって、日清や日露時代ではない、
しかし、日清、日露は勝利し、太平洋戦争では敗北である。
日本軍の第1航空艦隊は強かった、真珠湾攻撃もさることながら、インド洋進行作戦に於いてはイギリスに対抗手段はなかった。
背景に、航空艦隊を何隻もまとめて使うと言う当時では新しい発想があったのである。
従来、高速戦艦は速力は巡洋艦なみで砲力は戦艦なみと言う万能戦艦も装甲が薄いため、その弱さから第1次大戦以降、時代遅れとなっていた。
それをお互いの弱点をカバーする為に、航空母艦と組み合わせた部隊にすることで、強力な部隊にしたのである。
それだけでは無い、昭和7年ごろの日本の航空隊の熟練度は、アメリカ人の操縦する戦闘機1機に対し、6機でやっと対応できた時代から9年後の真珠湾の時期には、飛行機の性能もあるが、世界一になっていたのである。
セイロン島の東岸のツリンコマリの強襲では、イギリス自慢の戦闘機スピットファイアーとの空中戦では、日本側不利の状況にもかからわず日本損害2機に対し、イギリス機27機と言う戦果であった。

重要なのは組織化した技術と人材だと言うことなのである。
日本海軍は高速戦艦、航空母艦の弱点を補い、利点を生かすと言う画期的発想と戦闘機の性能を高めるため、パイロットの訓練を課すという部隊をつくることによって、強力化したのである。
ミッドウエィ海戦に於いて航空隊の有能な人材が大半失われたことと、アメリカも同様な戦術に移行していったことで、日本の敗退は進んでいくのである。

ドイツの機甲師団の場合も同様である
ヨーロッパでのドイツの戦略もこの機甲師団の果たした役割は大きい。
機甲師団の華々しい戦果はドイツの戦車の優秀さもあるが、それだけではない。
ソ連のT34型の方がドイツのM4より優秀であったとされている。
ドイツのM3やM4の貧弱な火砲ではT34の厚い装甲は破れなかったからである。
しかし、ここでも、当時では戦車をまとめて使うと言う新しい発想で生まれた機甲師団
がソ連を圧勝したのである。
実は、この発想はイギリスやフランスでもやっていたのであるが、発想の段階で止まっていたり、中途半端な形でしか実行されていなかった。何故か?
この方法には弱点があった、戦車は砲兵や爆撃機に弱く、多量の戦車軍団は格好の獲物になってしまうのである。
戦車は飛行機を避け、歩兵を付けて単発的に使用するのが、最も効果的だったのである。
しかし、新発想は、弱点を補うため、急降下爆撃機を中心とした空軍と戦車を組み合わせ、
さらに、その部隊に基づく訓練によって組織化したことにある。

逆を言えば、現在は強い組織(会社)も一端を崩せば脆いと言える。
機甲師団も制空権を失えば、如何に優秀な戦車や人材がいても没落するのも当たり前であり、日本海軍は航空機や人材を失えば弱い軍隊になってしまう。
ドイツも日本も石油を求めて南下侵略したのも、もう1つの弱点である燃料を確保するためだった。


組織とは!


強い組織の条件とは

  目標と行動がはっきりしていること
  目的が分散すると集中力に欠ける。

究極の目標がはっきり見えていること
利益の追求、コストの追求も、昨年は10%、今年も10%、、、このような限りない同じような目標は立ててはいけない。最終目標を立て、実行したら、一端完了すべきである。
途中目的を見直し、「留める」と言う度胸も持ってほしい。
ワンマンの組織は「留める」ことは簡単だが、組織では「メンツ」が先にたつ

明確なビジョンが組織を強化する
「民のために天下を統一する」豊臣秀吉
「人類のユートピア」キリスト教の布教
企業の理念もしかりである。利益の追求は企業の本質であるが、人を動かす「正義」
の信念にはなりえない。
ビジョンをもったリーダーの打ち手は1つ1つ前進もあれば後退もある、しかし、
総合的には前進しているのである。

組織編成の考え方
現在は企業の経営機能別に活動をまとめた、職能部門組織、機能別部門組織が主流である。
大企業では事業部を市場の性格に合わせて戦略事業単位(SBU)にしている。
しかし、このような組織は、高品質の製品を大量に安く生産し、販売していくことに主眼を置いた効率経営のための組織である。
新製品の開発、新市場の開拓、量産品が売れないと言う現在の不況を乗り切る為には、
変化に応じた革新的な組織が望まれる。

伝統的な組織の限界と問題点
職能別組織の問題点で代表的なのはセクショナリズムである。
特に、部門目標達成の要求の為、企業全体の利益を損ねてしまう事が多い。
責任の過度の追求や経営者のしつこい追求の為、真実が隠されてしまうのである。
また、部署の成績のあまり全体の利益を見失ってしまう。
「**の部署で費用を負担すべきだ」と言うくだらない会議で時間を浪費していないだろうか?
また、経営者が注意すべきことは、YESマンを側近に持たないことである。

これからの組織の方向
環境変化(意識や価値観)の激しい今日では、その時代にふさわしい組織編成や
考え方が望まれる。
管理職(課長、部長)と言う職権が先導して行われる組織だけでは対応できない、
だれがリーダーになっても企画を進められる柔軟な組織が必要なのである。
日本の企業は能力主義に変わってきているとは言え、一度管理職になった人間の降格はない。また無いのもプライドと「やる気」から望ましい。
しかし、環境変化に対応できない管理職の権限は企業を滅ぼす。前年の企業破産は良い例であろう。

新しい組織とは
人間の意識改革が最重要という事になる。役職者が自分より有能な部下を許容できれば、組織は成功であり、企業は進化する。「メンツ、プライド」を背負った組織は、現在の環境変化に対応できない。
組織運営役職者が如何に大きな心と意志を持って許容できるかが、活発な新組織の誕生と次世代の後継者の誕生の鍵になる。
現在は、「出る杭は打たれる」では無い、「出ない杭は内部を腐らせる」ことを考えてほしい。

組織化の問題点


過去に ヒトラーや、プーチンと言う悪の独裁者が現れた事がある。
人間は、集団で行動する動物であることを利用して悪事を働いた。
彼らは戦争犯罪者として、処刑されたのだが、、、、
軍隊と言う集団はある意味では馬鹿の集まりである、善悪の判断をしてはいけないからだ。
悪い事をしている、、と判断をして行動されたら、指導者は組織できなくなる

組織に従順するのが、かなしい人間のサガなのである
1名の人間によって多数の人間が不幸になる例である。