HL130U の修理



 

今度は 430Mhz 用のリニアアンプ HL130Uが持ち込まれた
これは HL130Uという 100Wのリニアアンプである。
これはジャンク品なので修理経験の実験には手ごろである。

  


内部を開けてみたら、回路図と違う部分がある。
HL130Uは いろいろ改良されていたのではないだろうか? 
基板修正の跡が見られることから、初期ロットの可能性がある。

後期モデルのHL130USXは 回路も簡単になってきている。

    

出力のトランジスタMRF650は 破損していたので交換する必要がある




次に、入力信号がパワートランジスタまでたどり着いているのか、最初に確認しておこう
実際に、入力信号をみるのは発振器とオシロスコープがいる。

アマゾンで プリアンプ調整用に入手した発振基板が使えそうだ。 30Mhz〜発振できる


  

デジタルオシロスコープは 500Mhzまで使えるので 信号を見ることができる

回路図から 入力回路を調べると、下記のようになる
PINダイオードが使われている

PINダイオードは準電流を流す事で抵抗値を下げて 信号を通過させる
受信時は 電流を流さないので 無限大になっている

HL130USXは 簡単にリレーで切り替える方式を取っている。
PINダイオードは破損するので、リレーが簡単であるが 多少価格が高くなる。



現物と回路図が違っているので、回路を書いてみた。
PINダイオードのバイアス回路は、出力のMコネクタにアンテナが接続されていないと
働かない回路が追加されていた。
これは、回路図通りに削除しておこう。

前段の MI407 は25Wの PINダイオードである。 これに約50〜80mAを流している
後段の MI301 は10W用で 保護回路が働くと 信号をショートさせて パワーが出ないようにしている

後期モデルの130UDXは リレー切り替えになってPINダイオードは使われていない。


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強制スタンバイを働かせて入力信号の通り道を調べたら、信号が途切れている



何故かわからないが、保護回路のトランジスタが破損して 働きっぱなしになっていた。
とりあえず、TRを交換して、
入力信号を入れて、強制スタンバイを働かせると、リレーが動作して、パワートランジスタの
入力まで到達した。
一応、PINダイオードは破損していないようだ。

パネルのLOーHI スイッチを切り替えると 信号レベルが変化することを確認した





次は、パワートランジスタがきちんと動作するかの確認である。

気持ち悪くなるほどの修理状況であるが、素人の修理だったのだろう。
元々、修理品であったが治らずにジャンク扱いのHL130Uである。




トランジスタを全部外して 測定したら 破損していた。
高周波パワートランジスタは なかなか入手ができないので、再度破損させたくない。
代わりに普通のトランジスタを取り付けて、バイアス電流を調整してみる
半固定抵抗は劣化しているので、交換した。



バイアス電流の測定は、オーディオアンプでもやっている方法を用いた。
コレクタに、0.47Ωの抵抗を入れて電圧を測定する方法である。
50mVで コレクタ電流 100mAになる。

とりあえず、直線領域で増幅させるため、 AB級動作が必要なようだ、 
ネット製作記事をみると、100mA〜200mA流しているようだ

クランプなどで電流を計る方法もあるが、この方法が確実である。。

アイドル電流が調整できることを 確認して 新品の 高周波トランジスタに交換する。

MRF650はアマゾンなどで入手できるが、 1か月はかかる